富士チャンピオンレースに出るには?その2
たぶん、話のネタにとか、1回くらいレースに出てみたいというのであれば、 車両をレンタルするのが一番安いかもしれない。しかし、自分の車でと考える人も多いだろう。 現在はネットオークションという強い味方があるのでレース車両を見つけやすいかもしれない。 たまにオークションサイトを見るとFJ1600などが売りに出ていたりする。 初心者入門フォーミュラーではあるがカートからやってきた人ではないと手を出しずらい。 それなりに整備場所と整備する腕があれば自分でいじくり回してレースに出るのも楽しそうだ。 壊れなければ以外にランニングコストも安いかもしれない。 しかしパーツの購入といつまでレースがあるかが不安になる。 現実的には2008年のリーマンショック以降の不景気でレースを休止している人も多いだろうから、 FSW周辺のレース村に出向き情報を得るのが確実だろう。 ナンバー付きのレース車両も安上がりのような気もするが、 Netz Cup ヴィッツはエアコンまでもちゃんと作動するように維持しなければならないし、 公道を走るので保険代や税金もかかるので、 そういった雑費が結構かさむ。 ロードスターカップが意外に安上がりに出来そうだけどここではあえて言及し無い。
もし、今まで車を自分で結構いじってきて、 車の構造をある程度理解しているなら、 自分でレースカーを作ってみたいという思いが募ってくる。 とりあえず自分でレースカーを作るとなると、 ツーリングカーいわゆる箱車でトヨタ車になる。 その中から金がかからなそうなのは、改造範囲の狭いN1クラスでAE111、EP82、ヴィッツ(NCP10)あたりか。 ヴィッツ(NCP10)が一番安く出来そうだ。 カローラアクシオGTやNA1600も捨てがたいが改造範囲の広いN2では金銭的に難しい。 お決まりのことだけど作業はすべて自己責任で行い、 けがをしないように気を付けたい。 個人的な趣味でAE111を選ぶとすると。 理由としては解体屋に車体がありそうだし、 ヴィッツよりは早いし結構満足できるスピードが出るから。 欠点としてはレースのレベルがちょっと高いので、 トップグループの車は相当速いけれど参加台数の関係で予選落ち2009年は無かった。 まず書いてる今現在、車体を探すとネットオークションでは当然のごとく何台かの車両が出ている。 オークションの過去30日間の落札相場を参考にすると5万円台で何台か落札されている。 希望条件は5速MTでサンルーフなし、ノーマルストラット、吸排気系なるべくノーマル、あとそれなりに走ること。 今まで走っていた車両、その位で良いとする。 理由としてはFCRで走っている車は5速だし、 スーパーストラットはパーツが無いしセットアップがめんどくさそうだし、 サスペンション部品が重いのも良くない。 サンルーフがあるとレギュレーションで、はずして鉄板でふさがなきゃならないのでめんどくさい。 あと、吸排気系はノーマルを探す、 今時だとエアクリーナーケースはずしてキノコ型のエアクリーナーが付いてマフラーが変わっていそうだけど、 エンジンに悪そうだし、N1だとエアクリーナーケースと純正EXマニホールドが必要なのでノーマルが良い。 解体屋でもありそうだ。解体屋では書類なしだとまけてくれるが仮ナンバーがとれないと移動するのがやっかいだ。 エンジンがかからないなどの車両は後々めんどくそうなのでなるべくパス。 運良くベース車両が手に入ったら次は作業場所。 自分の家にスペースを確保できる人は良いけど、無い人はFSW周辺にガレージを借りることになる。 先のことを考えると屋根と電気はほしいし路面が平らなところを探す。 現在の相場がいくらくらいか分からないが狭いエリアに何件もあるので端から伺ってみる。 ここでも都合良くガレージが見つかったとする。 はじめの作業は大物のいらないパーツをはずしていく。 シート、カーペット、天井の内張、エアコン系統1式などをはずし、じゃまなので処分する。 初めのうちは配線はカプラーからはずし、ドア周りの内装、 シフトレバーより前部のセンターコンソールは取っておく。 ダッシュボード内の空調装備をはずすがグローブボックスは残しておく。 アンダーコートははがしたいが面倒なので保留、 基本的な指標は出来る限りお金をかけずFCRに出て完走を目指す程度を考え順位は2の次、 エンジン、コンピューターノーマル、燃料タンクノーマル。 もし余力があればエンジンオーバーホールくらいは位はしたいけど、 パワーのあるエンジンがあっても車体が無いと走れないので、 車両全体の完成を目指す方が無難だと思う。 駆動系はLSDがなければ始まらないのでTRD製(他メーカーでもOKだが)を買う。 イニシャルトルクは面倒なのでいじらない。 TRD製品は通販だと以外に安く売っているショップもある。 ミッションを自分でおろして借りているガレージにLSDの組み込みのみお願いする。 中身がどうなっているのかが分かれば中古のLSD付きミッションを購入するのが手っ取り早い。 工賃は1万円程度~ ミッションを下ろしたついでにフロントスタビライザー、 スタビブッシュ、TRD製エンジンマウントにするが、ミッション側の1つが生産中止になっているので純正の新品で我慢する。 2010年JAF国内競技車両規則によると 4.12)ラバーマウントおよびブッシュ類 形状および寸法を変えなければ、金属への変更をのぞき、材質および硬度の変更が許される。 また、スグリタイプのものをソリッドタイプに変更することは許される。 とあるので器用な人は自作できるかもしれない。 ドライブシャフトはブーツを確認して痛んでなければ中身のグリースをモリブデングリースに交換しておく。 クラッチはエンジンノーマルなので純正新品にするか、スポーツフェーシングの物で我慢する。 エンジン内部は何もやらないがタイミングベルトだけ交換する。 EXマニホールドは純正が指定なのでフロントパイプから後ろを好きな銘柄に交換する。 レース用の排気系パーツは流通量が少ないので借りているガレージに聞いた方がいいかもしれない。 サスペンション廻りはシェルケースの取付部がノーマルでなければならないので、 シェルケース加工して使いたいが、減衰力の高いカートリッジはほとんど生産中止になっているのと 個人的にカヤバのラリーショックが気に入っているのでこれをを使う。 ノーマル形状のスプリングシートをグラインダーやサンダーではずし、 かぶせ式の車高調整+SWIFTのスプリングId70からフロント9kg/mmリア6kg/mmのバネレートを選ぶ。 スプリングはラリーショックなのでストロークが長い分、 ジャッキアップしたときに遊んでしまいスプリングに予圧がかけられないが妥協する。 機械加工することが出来ればシャフトを50mm程度詰めてショックが底付きしないようにして、 なおかつスプリングに対して予圧(プリロード)をかけられるよう寸法を調整したい。 なお、寸法に関してはパーツメーカーが公表しているわけではないので、 すべての部品をそろえた上で現物合わせにて決定する。 ダンパー底付き時の保険として純正スプリングバンパを切って入れる。 シェルケースの長さは加工できるので、 溶接タイプの車高調整ねじを取り付ける加工が出来、 減衰力の高いカートリッジを入手できるのであれば、 そのカートリッジに合わせてシェルケースを作れる。 AE111レース用ダンパーキットがいくつかのメーカーより販売されているが、 1台分30万前後の金額はちょっと高いが、 買ってしまえばボルトオンなので一つの手ではある。 サスペンションに関しては何年も車をいじってきた人は一家言持っているだろうから、 自分の信じる組み合わせで、あくまでもレギュレーションの範囲でサスペンションを組んだら良いと思う。 アッパーサポートはノーマル形状ゴム硬度UPのTRD製にする。 サスペンションブッシュ類もトヨタ車のゴム製品は全体的に硬度が低いのでTRD製の強化品にしたいが交換するのが面倒なので保留。 スタビライザーはとりあえず純正だが、リアについてはAE111後期BZ-Rの物がTRDの物とシャフト径が同じらしい。 ロールバーに関してはここ数年規則がやたらと細かくなりジャングルジムのような仕様になって来ているが、 AE111の場合2004年12月31日以前に公認を受けた車両であるため2004年の規定に沿った物で良い。 φ40mm、板厚2.0mm、6点、JAF仕様としているロールゲージを購入し、 ドアバー左右2本、リア斜行バー1本をレギュレーションに合わせて溶接で追加する。 材質については冷間引き抜き継ぎ目無し鋼管の物、 一般的にクロモリといわれている物については外径がφ40でも肉厚が薄いので使用できない。 当然アルミ使用出来ない。 ドライバーシートに座った状態で頭部の前方や横方向に当たる部分には、 安い難燃性材質ので構わないからロールゲージパッドを巻く。 ボディー補強も必要かどうか議論が分かれるところだけど、 コストが非常にかかるので、 溶接の技術のあればチャレンジしたい。 車室内に関してはリアシートの背もたれがあった部分とトランクルームの間に金属板で隔壁を作る。 純正タンクを使用すれば必要ないのだが、 1mm程度の厚さのアルミ板を使用してボルトかリベットで隙間が無いように取り付ける。 もし、透き間が空くようであればアルミテープで隙間を塞ぐ。 同様にフロントのバルクヘッドも配管などをはずした穴があればアルミテープで塞いでおく。 バケットシートは格安の物も数多く販売されているが強度的に疑問のある物も多い。 レギュレーションでシートレールとの取付部は側面の物を使用する。 もしクラッシュした時にシートが破損してしまうとシートベルトが機能しなくなり大けがを負うことになるので信用出来る物を選びたい。 シートベルトもレギュレーションで決まっていることでもあるが3インチ幅の物を使用し、 使用期限が決まっているので注意する。 取付は純正のボルト穴を使用するが、 車体側にボルト穴がない場合は40cm2以上の面積があり板厚3mm以上の鉄板を使用し、 車体裏側より貼り付けアイボルトで友締めし固定する。 ステアリングについても公道を走るわけではないので何でも良いがしっかりした剛性感のある物を使用したい。 純正のステアリングロックは取り外すが、キーシリンダーは残すこと。 消火器は粉末で内容量2kg以上の物を立て掛けホルダーとセットでホームセンターで購入し、 ホルダーの背の部分の板を100mm x 250mm程度、 板厚3mm以上の鉄板2枚をボディ裏面と挟み込みM6以上のボルト4本で固定する。 この時に消火器固定用の適当な長さに切断した金属ベルトに針金パチン錠(タキゲン社商品名?)を現物合わせでリベットで取付る。 消火器は車室内でもっとも重い物体なので出来る限り強固に取り付け、 それでいてすぐに使用できるように固定する。 消火器取付方法は向きが決まっているので車軸に対して直角に取り付ける。 トランクフードは跳ね上がらないように内部のトーションスプリングをはずしトランクフックを2カ所付け、 ボンネット側もボンネットピンを2カ所付ける。純正のボンネット、トランクオープナーは取り外し、 トランクフックとボンネットピンの脇には外から位置が分かるように赤か目立つ色で矢印のステッカーを貼るかマーキングする。 牽引フックもJAFの規定があるので合致した物を選ぶWTCCなどで使っているベルトの物は安いが使用できない。 取付はサンドトラップに捕まったとき豪快に牽引されるので、 純正の牽引フック部分を使用して8mm以上のボルトで強固に取り付ける。 エンジンルーム内はオイルレベルゲージに適当なスプリングで抜け止めをつける。 エンジンブローバイガス排出ホースからのオイル排出を防ぐために、 オイルキャッチタンクを付ける。 オイルキャッチタンクを適当な空間に強固に取り付けるがレギュレーションで、 排気量2000cc以下の車両は容量が2L以上と決まっている。 web上に多くのアルミ製の商品が出ているがそのほとんどは容量が足りないことに注意してほしい。 キャッチタンクには内部のオイル量が分かるようにのぞき窓かレベルゲージが付いていなければならない。 純正ウオッシャータンクを使用するのも良いかもしれない。 オイルクーラーは今回は付けないが、 AE111の場合、FSWを10周程度走るとエンジンオイルの油温が外気温が5℃の時オイルパンで125℃程度になる。単純に考えて外気温30℃で油温150℃程度になる。混合気の濃さや吸排気系の性能などに左右されるので、一概にはいえないが目安にはなると思う。実際エンジンオイルの油膜が何度まで保持できるかというのは、特定の銘柄のオイルを使用しエンジンを特定のクリアランスで組み立て、実際に回してみて何度で何分か回した後エンジンをばらし確認してどうだったかデーターを取らなければ分からない。結局オイルクーラーを付けた方が安心出来るのは確か。 エンジンルーム内はブレーキおよびクラッチリザーブタンクのふたは、 ずれないようにタイラップで巻いてはずれ止めとし、 オイルレベルゲージにはスプリングで抜け止めを付ける。 エアクリーナーボックスより前の吸入部分のダクトは取り外す。 バッテリーはドライバッテリーは値段が高いので軽自動車用やバイク用などの容量の小さい物に変更する。 それに加えてバッテリーホルダーをバッテリーがちゃんと固定できるようにスペーサー等を挟み追加工する。 外部より引くことにより機能するキルスイッチを取り付けるため、 配線を取付、 キルスイッチオフワイヤーの取っ手をカウルトップベンチレーター部の助手席の前あたりに穴をあけ取り付ける。 車室内のセンターコンソール部にカットオフスイッチを付け確実に配線する。 外部及び車室内のキルスイッチ脇には最小12cmの青色の三角形で赤字のカミナリマークステッカーを貼る。 ルーフ左右にドライバー名を記入すれば出来上がり。 くれぐれも詳細は当該年の富士チャンピオンレース特別規則書、 富士スピードウェイ一般競技規則書、 JAF国内競技車両規則で確認してください。 これで何となくレースカーの様な車両が完成した。 一息ついたら一通りのボルトのまし締めなど各部のチェックをして、 オイル、冷却水などの液体はすべて新品に交換し レーシングコースを30分流してみる。 この時に各部の異音、臭いがないか、車両の動きはどうかなど、 意識を集中して他の車両のじゃまにならないようバックミラーを確認しながらゆっくり走る。 ショックアブソーバーはある程度の慣らし運転をすることにより、 寿命を延ばすことが出来る。 パドックに戻ったら再度各部のチェックをする。 これからサスペンションなどの調整をして、 自分のドライビングスタイルにあった一人前のレースカーに仕上げていく。 そしてレースデビューだ。 |
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