TMSC富士HV耐久オールナイト・エコノミーラン【競技レポート】
【エコノミーラン競技レポート】
9月17日午後11時、恐らく世界初のハイブリッドカーによる真夜中の耐久エコノミーランがスタートした。深夜の富士スピードウエイを舞台に、高燃費を競って34台のハイブリッドカーが静かな熱い闘いを500km(7時間)に渡って繰り広げるのだ。二人以上が乗車し、搭載された25Lの燃料を高効率に使い、限られた7時間のうちに500km走破を目指そうというもの。普段は極限のスピードを競ってレーシングカーが疾走するサーキットを、智力を駆使し、我慢の走りを重ねて高燃費を導き出し、かつ500kmをいち早く走り抜けるのだ。ゆっくり走れば良い燃費が得られるが、7時間の内に500kmを走ることはできない、かと言って、速く走れば燃費が悪くなり、500kmを走り切る前に燃料が尽きてしまう可能性が高い。良い結果を導き出すには安定したラップタイムを刻むことがポイントと言われるが、速い走りの誘惑に惑わされ、ついアクセルを踏み込むと即座に燃費に悪影響を及ぼす。さらに3分を切るラップタイムをマークした周回は、総走行周回数から除外されるという厳しいペナルティが課されるのだ。
車両検査は入念に行われ、特に搭載燃料量のチェックは厳密を極めて行われる。個々の車両重量全車車検を無事通過、いよいよスタートのグリッドに整列してスタートの時を待つ。スターティンググリッドはなんとあのF1のスターティンググリッドと同じ、モータースポーツファンでなくとも、一度は並んでみたいポジションだ。慣熟走行を兼ねペースカーの先導でグリッドからスタート、競技は開始された。5周の慣熟走行を終え、ペースカーがピットロードに入ると、競技車は徐々にスピードアップ、燃費が心配になるほどのダッシュを見せるクルマさえ見られた。40分も過ぎると競技は落ち着き、各々独自の計算に基づく速度のコントロールに入り、淡々と競技は進んでいく。そうした中、ガマンの限界を超えたドライバーもチラホラと見受けられ、富士スピードウエイのストレートを3ケタの速度で走り抜けて行くモサも現れる。スタートから3時間に迫る9月18日午前1時50分過ぎ、再びペースカーが先頭車の前に入って速度をコントロール、順にスターティンググリッドに競技車を止め、1時間の休憩タイムに入った。各ドライバーはこの休憩タイムに夜食を取り、リフレッシュして後半のドライブに備える。夜食の場に用意されたレストラン「折鶴」や、「ピットエリア」では、侃々諤々、燃費と走行法の議論が交わされ、参加者のエコ意識の高揚が感じられる。フューエルゲージの減り方を比べて一喜一憂の表情も見られ、深夜とは思えない熱いトークバトルが随所に繰り広げられていた。
午前3時、ヒート2がスタートする。意外なほど進行が早く、ヒート1の3時間に55ラップを消化したこともあり、残り56ラップを4時間以内で走破する。あまりの展開の速さにガス欠車が続出する危惧さえ持つほどだ。しかし、先頭集団を行く競技車のスピードはさほど衰えを見せず、中には3分ギリギリの速いラップタイムを記録するチームもあるほど。夜が白み始めるころ、残り周回数は25周を下回り、111周のゴール時間は予定より大幅に早い午前6時15分頃と予測された。各ピットでは1周を消化する毎に残り周回数と燃料残量を計算、最後まで、ガスがもってくれることを祈っている。午前6時10分、リーダーボードは残り1周を示していた。その時点でガス欠ストップは皆無、全車が完走できる見込みだ。予定周回数111周のゴールに最初に飛び込んできたのはカーナンバー24「チームトライポロジー」プリウスNHW20型だった。当初、実力の程が見えないプリウスNHW20型だったが、平均時速約80kmで淡々と走り続け6時間13分58秒652でゴールラインを横切った。注目の燃料消費も計算値23.39km/Lをマークしている。2位入賞のカーナンバー21「チームAXIA-SPORTS NEXT」 プリウスZVW30型は110周を6時間17分49秒707で走破、平均時速は約79km/h、燃費は計算値約30.15km/L、3位のカーナンバー6「チームぴかいち」 プリウスNHW20型は109周を6時間17分37秒344で走破、平均時速は約78.51km/h、計算値29.89Km/Lをマークした。ホンダ勢では7位にカーナンバー5「チーム ホンダカーズしなの」 インサイトZE2型が入り、燃費は計算値36.55km/Lをマークしている。CR-Zで参戦のカーナンバー36「チーム RKH☆CR Z(TMSC)」は103周を周回、計算値31.87km/Lをマークしている。一方で驚異的な燃費を記録したチームもあった。燃料消費量わずかに8.625L,周回数は89周、平均時速約64.6km/hで淡々と走った「チームプリウスJV」だ。その初代プリウスNHW10型が記録したデータは計算値46.70km/Lというものだった。
「TMSC 富士 HV 耐久オールナイト富士500km(7時間)エコノミーラン」は無事に終了、参加者の多くは、この新しいモータースポーツを存分に楽しみ、「次回の開催を楽しみにしています」とコメントを残し、三々五々家路についた。
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