クラブの歴史 > (A3) 再び”TNT”の激突

History of FUJI 1000Km
第3回:1969年7月27日

第3回の富士1000㎞の話題は、10月10日開催と決まった秋季日本GP用に開発されていた5L・トヨタ7の登場であった。したがって、前回樹立された5時間46分という大記録がどこまで縮められるかが興味の焦点となったが、コースが路面の荒れたバンクを避けて、左まわり4.3㎞ショート・コースを233周することになったので直接比較することができなくなったのが残念なことである。参加の顔ぶれは、5Lトヨタ7・2台、タキ・ローラT70が5.8Lのニュー・エンジンを搭載しての登場、ニッサンR380・2台、チュードル・カレラ6をトップ・マシンとした93台。この中から公式予選のラップ・タイム順に50台が選ばれて決勝レースに進出した。
決勝レース当日、午前9時の気温は29度C、日中は30度を越える猛暑が予想された。午前10時きっかりにスタートした序盤は、細谷、鮒子田のトヨタ7につづいて長谷見のタキ・ローラ、米山のチュードル・カレラ6、黒沢のニッサンR380、高橋のニッサンR380と予想どおりのレース展開となった。が、20周を待たずに異変が起きた。長谷見のタキ・ローラがオーバーヒートでピットに滑り込んできたのだ。再びコースに戻ったものの17分をロスして、はるか中団に去ってしまった。これと前後して高橋のニッサンR380も高速コーナーの17番ポスト附近で、オイルに足をとられてスピン、白煙を上げながら外側のグリーンに突っ込んでリタイアしてしまったのだ。200㎞を過ぎるころになると、異変はますます拡大していった。 2番手を走っていた細谷四方洋/川合稔のトヨタ7がピットに滑り込んできた。燃料補給にはまだ早すぎる。フェンダー部を修理し、ドライバー交替ですぐコースに戻ったが、再びピット・インが繰り返された。フロント・サスペンションのトラブルだ。 40分の貴重な時間をかけてコースに戻ったがトップ・グループからははるかに遅れてしまった。たまたま、その頃、田中/長谷見組のタキ・ローラもつぶれてしまった。バルブの破損が原因だ。チュードル・カレラ6(津々見/米山)も左のドライブ・シャフトのジョイント部をこわして16番ポスト付近でリタイアしてしまった。大物の脱落で、500㎞を過ぎるころから、鮒子田/大坪のトヨタ7が独走体勢を固め、 2位の北野/黒沢組のニッサンR380を5~6周も開いてしまったので、興味の焦点は第2集団の激しい攻防に移っていった。GTクラスでは鈴木誠一/黒沢俊武のフェアレディ2000が文句ないリードをつづけているが、ツーリング・クラスでは高橋利昭/高橋晴邦のコロナ・マークⅡと長村瑞臣/篠原孝道のスカイラインGTRが接戦をつづけている。タイムはともに1分46秒前後、まったく互角の戦いだが、直練ではコロナ・マ一クⅡのほうがいくぷん速いようだ。変わり種として注目されている荒牧政美/山吉昭八郎組のロータス・セブンはノントラブルで20位内を走っていて観衆の拍手を浴びていた。 1時55分ごろ、トップを行く鮒子田/大坪組のトヨタ7が2回目のガス・チャージを行なった。 190リッターを大容量タンクに飲み込みコースにもどった。ドライバー交替も含めて、この時のピットストップは30秒という早わざ、いぜんとしてトップの座は安泰である。2時10分ごろになって、激しい第2集団に異変が起き始めた。 110周目6位だった長村/篠原組のスカイラインGTRが後退し、石井和雄/中野雅晴のトヨタ1600GTが上位に進出してきた。 4位だった両高橋組のコロナ・マークⅡが第1コ一ナー手前でエンジン・トラブルに見 われてストップ、リタイアの憂き目を見たのもこの頃である。そして、2時50分現在、コース上を走っている車は、出走50台のうち半分以下の23台となってしまった。フィニッシュは鮒子田/大坪のトヨタ7が圧勝、2位・北野/黒沢(ニッサンR380)、 3位・鈴木/黒沢(フェアレディ2000)、4位・石井/中野(トヨタ1600GT)、 5位・鶴ケ谷卓/大塚光博(フェアレディ2000)、6位・長村/篠原(スカイラインGTR)の順であった。所要タイムは鮒子田/大坪の6時間6分0秒47(平均164.25km/h)。

 

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