クラブの歴史 > (A6) 2座席マシン総崩れ、トレノ勝利
History of FUJI 1000Km
第6回:1972年10月22日
第6回富士1000㎞の話題は、 2リッター・スポーツカーの大量エントり一とプロタクションカーをベースにR仕様としたマシンの出場にあった。富士グラチャン出場の2シーター・クループ7は、 6台がローラ・シャシーに三菱R39BエンジンとFVCエンジンを搭載したものである。予選タイムを見ると、三菱R39Bエンジンを搭載したマシンが抜群の速さを見せた。永松邦臣/隅谷守男のロンソン2000(ローラT290/R39B)が1分21秒98、漆原徳光/益子治(ロこラT290/R39B)1分23秒36、と1、2位を独占している。このあとに、FVC搭載の川口吉正/鮒子田寛(ローラT290)1分24秒09、米山二郎/田中弘(ローラT290)1分25秒50、渡辺一/小林元芳(ローラT212)1分26秒93、木倉義文/高武富久美(ローラT290)1分27秒67。予選6位までは、2リッター・グラチャン・マシンがひしめきあい壮観であった。これに対するマシンはトヨタが繰り出したターボチャージド・セリカが注目の的だった。 DOHC・2T-G型1588ccにターボ・ユニットを組み合わせ、ダブル・イグニッション方式+EFIを採用、最高出力260ps/8500rpmという高性能マシンである。事実、熟成度も高く、練習中にほとんどトラブルも見られなかったばかりか、タイムも1分30秒を切って、第5回大会のマークIIターボのベスト・ラップ1分36秒24をはるかに上まわるものであった。これにつづくニッサン、マツダ勢は、今回エントリーを見合わせた。が、富士1000㎞はいつも皮肉である。この第6回は恒例の7月末に開催されるはずであったが、直前の集中豪雨で10月に開催が延期され、秋晴れのもとの1000㎞が期待されたのであるが、決勝の22日は無情の雨にたたられた。当然、屋根なしの2リッター・マシンと、屋根つきの市販車レーシング仕様では条件が、がらりと変わってしまった。午前10時30分、予定どおりスタートは切られたが、1周目ではやくも各ピットが、あわただしい動きを見せた。川口のローラT290がタイヤ交換、米山のローラT290は右フロント部をつぶし、小林元芳の乗ったローラT212は、ホロをかけてリタイアしてしまったのだ。また、スタートを出遅れた漆原も、左フロント部をつぶし、ヘヤピン退避路付近で息の根を止めてしまった。さらに2リッター・マシン勢の不運はつづく。 3周目、永松のロンソン2000がエンジン部から煙をあげながらピットへすべり込んできた。そして10周目を過ぎるころには、屋根つきのポルシェ910ですら「雨はひどいし、コースは川のよう。これでは走れたものではない」とピットにへばりついてしまった。こうしたなかで、トップに立ったのはフェアレディ240Zの柳田/西野組、大塚/谷口組が交互にトップ争いを演じている。注目のターボ・セリカも、10周目の時点では高橋/細谷組が3位、久木留/見崎組が5位と好位置をキープしていた。だが、富士GC2リッター・マシンが消え去ったあとの本命マシン、ターボ・セリカも、この雨の100O㎞を走り切ることはできなかった。久木留のターボ・セリカは15周目を消化したショートカットののぼりで、遅い車をゴボー抜きにした直後にスピンをしてリタイアした。残る1台の高橋/細谷セリカは、24周目、ついに待望のトップに立ち、29周にはいったところでは、 2位の大塚フェレディZに15秒の差をつけての快走をしていたのだが、 12時過ぎ、ピットストップ、高橋がマシンを押しはじめる発事故が持ち上がった。電気系のトラブルブルでリタイアの憂き目にあったのだ。レースは中盤になっても荒れた。好走していた柳田の240Zが53周目、追い越しをかけたところ、水煙の中にいた他車に激突、トップを快走していた谷口の240Zも110周目、ファンベルトを切って、バッテリーあがり100Rでストップしてしまった。結局、舘信秀/見崎清志のスプリンター・トレノが優勝、 2位・杉山博/浅田卓秀(フェアレディ240Z)、3位・竹下憲一/森泰章(セリカ)、 4位・鈴木純一/辻本征一郎(サニー1200クーペ)、5位寺西孝利/星野一義(サニー1200) 6位・篠原孝道/石村靖夫(フェアレディZ)と、戦前にはまったく予想もつかなかった入賞メンバーとなった。所要時間は5時間59分51秒99(平均132.632km/h)ただしで6時間レースとなったため、周回数は185周で、795.5kmのタイムである。
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