クラブの歴史 > (A7) 本領発揮、ターボ・セリカLB

History of FUJI 1000Km
第7回:1973年7月29日

第7回の富士1000㎞は、前回と違って、トヨタ三ニッサン、マツダが必勝の布陣で臨んできた。トヨタは、お得意のターボ・セリカ。高橋晴邦/見崎清志、久木留博之/蟹江光正組だ。ニッサンは3台のフェアレディ、高橋国光/都平健二、長谷見昌弘/星野一義が”240Z・R”、鈴木誠一/歳森康師が”240Z”。240Z・Rは、クロスフロー・ヘッドにL24改(R390)エンジンを換装した2600ccマシンである。マツダは、片山義美/岡本安弘と武智俊憲/従野孝司のサバンナRX-3、寺田陽次郎/田中俊夫組のサバンナRX-3も加わっての顔ぶれである。これに対して、人気絶調の富士GCマシンも、13台の多くを数える華かさである。抜群の戦闘力を備えているローラT280/DFV(高原敬武/浅岡重輝)、シグマMC 73ロータリー(森泰章/P.ダルポ)。その他、ローラT292/FVC、シェブロンB19、23/FVC、ローラT292、ベルコ72F、マナ09、いすす”・スパイダー2000-FAなど、まさにヨーロッパ、国産2リッターの総出場である。総エントラントは74台、決勝には60台が進出する。決勝の29日は、またしても早朝から激しい雨に見舞われてしまった。加えて周囲は、すっぽりともやに包まれて雨と霧の1000Kmとなった。スタートは、予想通り高原の3LローラT280がトップに立ったが、やはり、2シーター・グループ7は雨に弱い。 4周目で早くも高橋(晴)/見崎のターボ・セリカLBにトップを譲ってしまった。 3番手も久木宙/蟹江のターボ・セリカだ。 2台のターボ・セリカはまったく速い。雨をものともせず2分7秒台のハイペースで水煙りの中を突き抜けていく。ニッサン勢も快調だ。 3周目、思わぬピット・インで中位に転落した高橋国の240Z・Rがゴボー抜きを見せて必死の追走を展開、長谷見の240Z・Rもピタリとターボ・セリカをマークしている。マツダ勢も、6、7番手に片山、従野のサバンナRX-3がついている。ビッグ・スリーの激突となったのだ。これに対して、雨に弱い2シーター勢は悪戦苦闘だ。ズバ抜けて早い高原のローラでさえ2分16~17秒台にあえいでいる始末、しかも、米村(いすす”・スパイダー2000-FA)、中野(シェブロンB19)、ダルポ(シグマMC73)、釜塚。(ローラT292)、川口(ローラT292)と、トラブル続出でピットでの応急手当に大わらわである。快調のターボ・セリカは、12周目、久木留が高原をかわして2番手にあがりワン・ツー編隊を組んでの快走をつづけている。これに切り込みをかけたのが高橋国の240Z・R、つづいて長谷見もくつわを並べて、トヨタ勢追い落とし作戦に移った。が、24周目、長谷見はS字の切り返しでコントロールを失い、土手に乗りあげ自滅してしまった。そこへ浮上してきたのが片山のサバンナRX-3である。40周では完全に久木留を抜き去って3番手にあがってきた。トヨタ、ニッサン、マツダ、3車の激突に雨中の観衆も思わず身を乗り出す緊迫したシーソーゲームが続けられた。ここで脱落したのはニッサン勢、60周を過ぎたころ、都平の240Z・Rがストレート出口でスピン、これに後続車がぶち当たってついにダウンした。80周目の順位は、1位・高橋/見崎(ターボ・セリカ)、2位・片山/岡本(サバンナRX-3)、これに鈴木/歳森(フェアレディ240Z)。しかしサバンナ、240Zはすでにトップから2周離されているので、よほどのことがない限り優勝の望みは消えたと見てよい。その鈴木も133周目、油圧低下のため戦列から消え去ってしまった。マツダ勢の中からも誤算が出た。 135周目、 3番手にのしあがってきた従野のサバンナが、あろうことかガス欠のためストップしてしまったのだ。ガス欠の危機はトップの高構(晴)ターボ・セリカにもあった。雨があがりかかったため予想外にペースが速まったからだ。従野がストップした135周目、高橋晴は1周おくれの片山を気にしながらも思い切ってピット・イン、わずか5秒の燃料補給でコースに躍り出た。これを見た片山も猛スパートを牟けたが、同ラップに持ち込んだだけで、チェッカード・フラッグを最初に受けたのは序盤からトップを快走した高橋(晴)/見崎のターボ・セリカであった。所要時間は6時間01分59秒(平均142.219Km/h)雨のため、この回も実質6時間レースとなり、走行キロは143周・614.9kmであった。

 

戻る 次へ

クラブの歴史 ⇒ [1.創立まで] [2.TMSCの誕生] [3.富士1000km] [4.1600GT強し] [5.自主運営確立]

History of FUJI 1000Km ⇒ [A0] [A1] [A2] [A3] [A4] [A5] [A6] [A7]

スピード記録・その他 ⇒ [B1] [B2] [B3] [B4] [B5] [B6] [B7] [B8]

Copyright© 1964-2015 トヨタ・モータースポーツ・クラブ All Rights Reserved.